不思議なお魚パティとラフィーネ 第16話 チッチとリンリン    2002.12.21

 
第16話の仲間たち
パティの家族構成 お母さん:ミーユ   お父さん:マルーロ
長女  :ラフィーネ  次女 :パティ   長男:マーロ
パティ31年前の思い出の小学生
お母さん ミーユパティに名前をつけてくれた、とっても優しくて素敵なお姉さん
チッチ渡り鳥のお母さん。中国からの留学生
リンリン渡り鳥 チッチの子供 小学6年生
トモリン渡り鳥 チッチの子供 赤ちゃん
雪ぐもさんどこへでも連れていってくれる雲さん
涙から生れた天使チッチの生まれ故郷にいるおじいさん、おばあちゃん、お父さん、お母さん
お兄さんお姉さん、妹に弟、親戚のおじさん、おばさんたち・みーんな
ミヨ先生天使の保育園の先生
エンジェルyukiさまAngelさん   天使のようにやさしい人


渡り鳥のお母さんが羽を痛めました 早く治るといいなぁ……


 パティ達がいつもの広場へ行くと
 渡り鳥の親子が羽を休めていました。


広場
トモリン リンリン チッチ パティ ラフィーネ


 北へ向かっている途中なのでしょう。
 お母さんが羽を痛めているようです。


「こんにちは 渡り鳥さん」
「こんにちは お魚さん」


「私はパティといいます。そしてお姉ちゃんのラフィーネです」
「まぁ かわいい名前ね。私はチッチといいます」
「子供たちは、小学6年のリンリンと赤ちゃんのトモリンです」


「どうしたんですか?」
「うん ちょっと羽を傷めたの……飛ぶのは無理みたい……」


「まあ あざになっていますよ。休んで行ったらどうですか?」
「そうしようと思ってます」


「リンリンちゃん遊びましょう。トモリンもおいで」

「はーい」

リンリン  トモリン
リンリン   トモリン


「お母さんは、私の母さんと広場で休んでいるから大丈夫よっ」
 4人で広場の空を飛びまわって遊んでいます。


チッチとミーユ
ミーユ


「遠くまで行ってみようか?」パティが声かけました。
「おばあちゃんの家が見える所まで行きたいなっ♪」
         リンリンが言いました。


「うん いいよ 母さん ちょっと行ってきまーす」


「気をつけるんだよ」
「はーい わかってまーす」


 そう言うとパティは、いきおいよく飛びました。
 北へ飛んで行くと、雪ぐもさんが出てきました。


雲



「パティどこへ行くんだい」


「北ぐに村までよ」


「じゃあもうすぐだよ」
「雲さん知ってたら教えて下さい」


「じゃあ 一緒に行こうか」
「お願いします」


「ではみんな乗りなさい」
「はーい ありがとうございまーす」


 みんなは雲さんにのっかりました。
 北へ北へ行くと雪が降っている村まできました。


リンリンパティ


トモリンラフィーネ


「ねぇ 雲さん あの雪の下が母さんの生まれた所ですか?」
「そうだよ、みんな冬支度ですね。これから寒くなるから……」


「寒ーい ねぇリンリンちゃん、おばあちゃんの家わかりますか?」

「わかるよ もうすぐです。ほらあそこの村よ 見えて来たわ。
 あっ おばあちゃんたちが見えるよ。あそこに……
 おばあちゃーん お母さんが大変…… ケガしたの……
 だから すぐには飛べないのよ」 リンリンがおばあちゃんに伝えました。


雪国


「それはいけないね じゃあこれを持ってお帰り。傷口に塗るといいよ……」
 おばあちゃんは昔から伝わる、大切な魔法のお薬を渡しながら言いました。

「ありがとう おばあちゃん」


「チッチに、元気を出すように言っておくれ……戻ってくる所はあるからと…ねっ、
 兄弟や親戚……家族みんなが待っていると伝えておくれ」


「はい 分かりました。
 じゃあお母さんにお薬を持って帰ります。
 治ったらみんなで一緒に戻ってくるからね。おばあちゃん」


 お薬を頂いた帰りに天使さまに会いました。


エンジェルユキさま
エンジェルyukiさま


「パティ今日はどこへ行ってきたんですか?」

「あのねっ リンリンのおばあちゃんの村です」


「リンリンはえらいね。お母さんのお手伝いもしますし…感心よ…
 トモリンのお守りもしますよね」


「あれっ どうして私のこと…知ってるんですか?」
 リンリンは不思議だなと思いました。


「あのねリンリン 天使さまは何でも見ているのよ」
 パティが説明しました
「エンジェルyukiさまっていうの……」


リンリンパティ
トモリン


 すると、天使さまがいいました。
「パティ ミヨ先生もいますよ… ほら そこにっ♪
 ミヨ先生は結婚しましたよ。同じ天使の保育園の先生とね」


結婚式


「ええ そうなのー ミヨ先生も悩んだりしたとき
 相談にのってくれたんでしょうね?きっと…… その先生♪」


「そうですよ。 二人とも子供が大好きなんです。価値観も共通してますね」


ミヨ せんせっい♪ せ…ん……せいっ♪ おめでとうございまーす♪
「ありがとう パティ」


 二人がつないでいる手の中からハートが出てきました。
「パティ これを持ってお帰り、
 リンリンのお母さんの胸にそっとのせてあげて……」


「熱ーい 熱ーい 愛情のこもったお薬ですね。先生っ♪」
「こら パティ 冷やかさない…の…っ♪」
「ごめんなさーい ジョークよっ。 先生ありがとうございます」



「リンリン 私もいいものをあげましょう」天使さまもいいました
「これを飲ませてあげなさい。きっと元気になりますよ」
 王冠についている、キラキラ光る物を差し出しながらいいました。


天使のボール


「ありがとうございます。天使さま」

「はやく戻って飲ませてあげなさい。1つで十分効き目があります。
 リンリン。お母さんが治って飛べるようになったら、帰る途中でまた寄りなさい。
 チッチの心のキズを、いやしてあげます。
 きっと寄るのですよ。そう伝えなさいリンリン」


      ボール
     ボール
   ボール
エンジェルyukiさま


 天使さまは、チッチの心の中を見抜いていました……

「はい そうします。天使さま」


 そしてみんなは、お母さんの待つ広場へ戻ってきました。


「ねぇ お母さん これはおばあちゃんから…… これは天使さまから……ボール
 それから これはミヨ先生からよ……
 羽に塗ってみるね。お母さん。
 天使さまからのは飲んで…って……」

 しばらくすると、羽のケガもだんだんと治ってきました。
 体にできてた「あざ」も消えていきます。まるで魔法みたい……



 なによりも心配なのは、心に受けた深ーいキズです。
 でもミヨ先生から頂いた、ぬくもりのハートで心のキズも癒えてゆきます。


 本当は、チッチはひどい仕打ちを受けていたんです。
 羽が折れたのも、蹴られたからなんです。心も体もキズついています。


 チッチには遠くから、天使さまのササヤキが聞こえてくるような気がしました。


エンジェルyukiさま
エンジェルyukiさま


「チッチ♪ 元気になりましたか?」
「はい とっても……」


「けられたり、ぶたれたりもしましたね。
 寒い中ベランダに立たされたり……55分も……我慢強いチッチ!
 トモリンを産む時、一人で産みましたね。
 ホントは来てくれるのを待ってたのに……ね。
 大丈夫かい? がんばれよっ!っていって欲しかったのに……」


 チッチは自分の事を分かってくれていたことが胸に響きました。


「チッチが精一杯努力しているのに…分かってもらえませんでしたね。
 でも子供のために、じっと我慢してきましたね。
 これからは、自分の人生を歩きましょう。
 リンリンやトモリンのためにも……」

「はい そうしようと思っています」

「リンリンはお母さんの手伝いをするとってもいい子です。
 まだまだ遊びたいでしょうに……えらいなっ
 飛びたてるようになったら、帰りに寄りなさい。
 そうそう、今年のクリスマスは天使たちとしましょうね。
 チッチの仲間は一杯いますよ。 待ってるからね」


X’mas X’mas



 チッチは嬉しくて、リンリンとトモリンを抱きかかえました。
 二人を抱えこんだ手に、大粒の涙がこぼれ落ちてきました。


チッチのファミリー天使
ちっちと天使
   チッチのファミリー天使

チッチのファミリー天使
 こぼれ落ちた涙の、一粒一粒が…エンジェルの姿に変わりました。


 はじめのはおじいさん、次のはおばあさん、次はお父さん
 その次はお母さん、そして…… お兄さんお姉さん、妹に弟……
 親戚のおじさん、おばさんたち 故郷にいる…みーんな…の姿です。


「チッチ ガンバレ♪」天使たちの声が聞こえてきます。

「この子たちのためにも、私は負けないぞ……」


 チッチは、思い切って羽ばたいてみました。
 すると羽はすっかり治っていました。


飛び立ちます


「うん これなら大丈夫だっ。リンリン トモリン帰りましょう」
 渡り鳥の親子は大空へ飛び立ち、北へ向かいました。


 涙から生れた天使たちも、チッチを守るように遠くから囲んでいます。
 チッチたちは天使に見守られ、きっと幸せになることでしょう。
 ガンバレ チッチ♪


チッチのファミリー天使チッチのファミリー天使
チッチのファミリー天使


    お わ り