不思議なお魚パティとラフィーネ 第29話 もみじやさん    2008.10.22

 
第29話の仲間たち
パティの家族構成 お母さん:ミーユ   お父さん:マルーロ
長女  :ラフィーネ  次女 :パティ   長男:マーロ
パティ31年前の思い出の小学生
お母さん ミーユパティに名前をつけてくれた、とっても優しくて素敵なお姉さん
ユーミンもみじの精、もみじまんじゅう屋さんのやさしい人
ばあちゃんパティのおばあちゃん。昨年亡くなりました。
エンジェルyukiさまAngelさん   天使のようにやさしい人


もみじまんじゅう屋さんのユーミンのお話


「パティ お墓参りに田舎へ行きますよ」ミーユがいいました。
「じゃあ もみじの、お店やさんにも行きますね。母さん」
「そうね いつも寄りますからね」


パティの家族


 田舎へ帰る時は、いつもおみやげに
 もみじまんじゅうを買います。


もみじまんじゅう


 月に一度くらい、田舎へ帰りはじめて20年になりますが
 10年くらいしたある日のことでした……


 いつものように、もみじやさんでおみやげを買いました。
 小さい箱を5個、大きい箱を1個……ちょうど5千円です。


 袋に入れてくれた店員さんが、いいました。
「いつも5千円ちょうど買って下さる方ですよね」


「ええ 覚えていてくれたんですか?」
「はい 覚えていました。いつもありがとうございます」


「田舎へ帰る時はいつも、もみじなんです。
 遠くまで帰るんです。高知県中村市というところです。
 朝出ても着くのは夕方になります」


「そうなんですか。遠いですね」
「ええ」


「カレンダーがありますが使いますか?」
「ええ あっ… はい…」


 カウンターの下から取り出して… 「これ どうぞ…」
 私の好みのSLや電車のカレンダーでした。

「ありがとうございます。いただきます」


 お店を出てレシートを見ると「ゆめ子」さんと書いてありました。
 ……夢の国のお使いのかた…… かな……


 あたたかさと、さわやかな感じをうける方……
 そうですねー もみじの精… ユーミンとよびましょう。


もみじの精ユーミン
   もみじの精ユーミン


 その後も田舎へかえる時は、かならず寄ります。


 お店に入ると
「いらっしゃいませ…
 そろそろくる頃ではないかなーと思っていました」と
 いってくれます。


 いつまでも覚えていてくれて、うれしいことです。
 品物以外に、心あたたまるものを頂いた気分です。
 生まれ育った田舎まで、長い道のりですが気力を与えてくれます。
 ・
 ・


 いつも車でかえります。
 港まで1時間、フェリーに乗って2時間、船をおりて5時間……


フェリー


 途中の道の駅でお昼ごはんと休憩をいれて……およそ10時間かかります。


「気をつけて帰って下さい」
 ユーミンのやさしい言葉に元気をもらい帰ります。

 帰りつくと、夕暮れ時…… 冬はまっ暗になっています。


 今年も彼岸に帰るとき寄りました。


ひがんばな


 少し早かったので、まだお店が開いていません。
 雨のふる中、車で5分ほど待つとカーテンが上がりました。


 ユーミンの姿も見えます。
「いらっしゃいませ。おはようございます」


 材料の値上がりで、まんじゅうも高くなっています。
 いつものように買っても5千円では買えなくなりました。


「これから田舎へ帰ります」

「雨がふってて大変ですね。気をつけて帰って下さい」


雨 パティ


 そういいながら、おみやげ袋を持って見送って下さいました。


「ええ 気をつけます」


 おみやげ袋をうけとると
 雨でぬれないように、ビニール袋を逆さにして
 かぶせてありました。


 なにげない心配り…… それがなお、心にひびきます。
 やさしい方です。  もみじやさんのユーミン



 天のほうから声がしました。
「田舎まで持って帰る大切な気持ちを、雨でぬれないようにと……いう
 ユーミンのやさしさですよ。 パティ」


天使さま
エンジェルyukiさま


「あっ 天使さま。ユーミンお姉さん 何もいわなかったです」


「何もいわず、自然に…そっと……それが思いやりですね。
 パティ ユーミンに大切なことを教えていただきましたね」

「はい エンジェルyukiさま」

「パティも、田舎で待っているおばあちゃんの所へ何度も行きましたね。
 天からいつも見ていましたよ。 えらいね。
 おみやげはいつも、もみじまんじゅう。

 おばあちゃん、とっても喜んで食べていました。
 でも、おみやげよりも、顔を見せてくれることが、一番うれしかったのよ。
 会いたくて…… 会いたくて…… パティが来る日を楽しみに待っていましたもの」
 
 そのおばあちゃんも、去年の春から天使の国にいます。
 天使の国のみんなと、おだやかに暮らしています。

「パティ 会いたくなったら、いつものように、天使の国の入口から入っておいで…」


「はい エンジェルyukiさま」

パティ
   パティ



「ほら 天をみて下さい。見えるようにしますからね」
 エンジェルyukiさまが魔法を使ってくださいました。


 いつもの笑顔のばあちゃんの姿が見えます。
「天使さま 見えました。ばあちゃん笑ってます」


ばあちゃん


「見えましたか。よかったですね。
 いつも パティたち家族を見守っているんですよ」


「ばあちゃーーん いつも守ってくれて あ・り・が・と・うーー
 これから、お彼岸のお墓参りに行きますからね」


 ばあちゃんは、笑顔でかるくうなづいて、ゆっくり消えました。


「天使さま ありがとうございました。 田舎へ行ってまいります。
 母さん 早く行きましょう。ばあちゃんが田舎で待ってるって……」


「そうね 出かけましょうか」


 天使さまと、もみじの精ユーミンが見送ってくれました。


もみじの精ユーミン


「気をつけて行ってらっしゃい」


 パティの家族は、もみじまんじゅうをおみやげに、田舎へと向かいました。




  お わ り