不思議なお魚パティとラフィーネ 第24話 メールのおじさん    2006.06.01

 
第24話の仲間たち
パティの家族構成 お母さん:ミーユ   お父さん:マルーロ
長女  :ラフィーネ  次女 :パティ   長男:マーロ
パティ31年前の思い出の小学生
お母さん ミーユパティに名前をつけてくれた、とっても優しくて素敵なお姉さん
おじさんパティにメールをくれたおじさん
おばちゃんオカリナの上手なおばちゃん
アーサ天使のうさぎ 小学生
リーゼ天使のうさぎ アーサの妹 保育園
ミヨ先生保育園の保母さんをしています
マリーひまわりの精マリー 天使さまにお仕えしています
天使の子供たち天使さまの仲間たち 天使さまにお仕えしています
エンジェルyukiさまAngelさん   天使のようにやさしい人


メールをくれた、おじさんのお話


『悲しむよりも、笑顔でおくってほしい……』
 そんな言葉を残していった おじさんのお話です。


「パティ お知らせがあるの……」
「どんなこと 母さん」


パティ
 パティ


「びっくりしないでね」
 ミーユのいつもと違う顔に、パティはちょっぴり心配になりました。


「……」何も言えないでミーユを見つめるパティ……
 目で…… なあーーに と言ってるようです。


miiyu


「パティにメールをくれたおじさん…… おぼえてる?」
「うん おぼえてるよ。英語のとくいなおじさんですね」


「そうよ アメリカにも住んでいたから英語もじょうずですよ」
「なにか あったの母さん……」

 ミーユは… ためらいながら言いました。


「あのね…… 天使さまのところへいったの……」
「エンジェルyukiさまのところですか?」
「ええ そうよ。yukiさまから、お知らせがあったの……」


yuki
エンジェルyukiさま

「いつも笑顔でしたね おじさん。 ピーナツが大好きでしたね」


「そうでしたね。 ハーモニカも上手でしたよ」

 ♪♪   ♪   ♪ ♪  ♪♪♪    ♪  ♪  ♪    ♪


「うん きいたことあるよ。
 メールにもハーモニカのこと書いてあったの、おぼえていますよ」


「おばちゃんとおじさんの演奏会のことでしたね」


「おばちゃんがピアノをひいて♪、おじさんがハーモニカを吹いたって……♪
 おじさんは小学5年生か6年生のときにハーモニカを習ったって書いてたよ。
 ハーモニカの音って、心にしみますね。母さん……」

「そうね あれは、……あ・い・しゅう・があるっていうのね…… あの音……」


「胸に じーーん ときますね」
「気持ちをこめて吹いているからなのよ。 おじさん……」

「そうだね」



「おじさんのお話はユーモアがあって楽しかったね。
 ああー たのしーーいーー メリー クリスマス!って」

「クリスマスでなくても、おめでたい時は、メリー クリスマスでしたね」


「今も、天使さまとユーモアあふれる、お話してるよね。きっと」
「そうね yukiさまも笑ってるでしょうね」


「天使保育園の子供たちに囲まれてアメリカの話をしてるかも……」
「そうね おゆうぎのときはハーモニカを吹いているでしょう」


ハーモニカ


 ♪
 むすんで ひーらいーて てーをうって むーすんで… ♪
 ♪ ファーファファファ ♪ファーファファファ♪
 ファー ファ♪ ファッファ♪  ファー ファファファ♪



 その時エンジェルyukiさまの声がしました。


yuki
エンジェルyukiさま


「パティ おじさんは天使の国でも、みんなに慕われていますよ。
 ウォルターおじさんって……
 アーサとリーゼもいっしょです。
 おじさんより早く、こちらにきている姉妹です。覚えていますか?」


アーサリーゼ
   アーサ     リーゼ


「はい 天使さま。雪の日に天に昇った子供ですね」 (第19話)


「そうよ 雪の降る寒い日でしたね。
 姉妹が山で迷って倒れているのを、パティが知らせてくれましたね。
 でも、寒さで体が弱ってしまって、私のところへきました」


「そうでした。あの日は雪がいっぱいでした」パティは思い出しました。

「今はおじさんにハーモニカを習っています……
 おじさんは、やさしく教えてくれるから、二人もじょうずになりましたよ。
 おゆうぎ会では、おじさんとアーサとリーゼが演奏しますから、パティもきて下さい」

「はい 母さんとお姉ちゃんも連れていきます」

「おねがいしますね」


 パティは天使の国へ入ることをyukiさまから許されています。


 今日は、天使の国のみんなで、おゆうぎ会の練習をしています。
 天使保育園のおゆうぎ会で、ダンスをすることになっているんです。


 耳をすますと天のほうから、さわやかな音色が聞こえてきました。♪


「あっ おじさんのハーモニカだ!」パティが耳をかたむけて聞いています。

「パティ よーーくみててね」


 天使さまはそう言うと、両手をゆっくり……ゆっくり、広げました。
 すると、手の中から、花の精と音符の精が天に昇り、大きな輪になりました。
 その輪の中に、おじさんが、薄っすらと見えてきました。


音符の輪
     音符と花の精


「やあ パティ」と言っているような気がします。
「あっ メールのおじさん」パティは声をかけました。

 おじさんは右手をあげ笑ってこたえてくれました。



 天使さまが、いいました。
「パティにお願いがあるって。いってますよ」


「何て、いってますか。天使さま」

「おゆうぎ会にくるときに、おばちゃんも一緒にお願いって……」


 パティは……少し考えてから、いいました。

「あっ 意味がわかりました。
 オカリナも持って行くんでしょう……」

オカリナ


「ええ よく分かったね… という感じでうなずいていますよ」


「おじさん わかりました。おばちゃんとオカリナですね」
 一緒に行きますから、まってて下さい」

 パティは笑顔でうなづくおじさんと目でお話しました。


 数日後、パティは、オカリナのおばちゃんと母さんと
 ラフィーネたちで、天使保育園のおゆうぎ会に行きました。


 パティは天使の国へ行ったり来たりできる不思議なお魚です。
 天使の国の入り口はあちこちにありますが
 今回はコスモスの花の真ん中を通りぬけました。


cosmos



 天使の国では天使保育園のミヨ先生や、天使の子供たちも集まっています。


acyan acyan


 天使さまがみんなに、いいました。

「アーサとリーゼとウォルターおじさんが演奏します。
 それから、とってもいい、お知らせがあります。
 オカリナのおばちゃんも、演奏に加わってくれますよ」


 ワーーイ パチパチパチパチパチーーーー 大きな拍手でお迎えしました。


「みんなおどって下さい。パティやラフィーネもおどってね」

「はい たのしくなりますね」


「ワン ワン」ペペも走ってきて、パティにすりよりました。(第7話)

ペペ


「ぺぺー ぺぺもダンスしようね」
「ワン」しっぽをふってこたえています。とってもうれしいんです。


 ミヨ先生が、いいました。
「さあ みんなでまーるくなって下さい。ダンスがはじまります」


 おじさんたちの演奏がはじまりました。
 アーサとリーゼとおじさんがハーモニカで、おばちゃんがオカリナです。



 タラッ♪ タラッタ ♪ラララー ラ♪ ラッラッラッラーー♪ ラララー♪
  タラッ♪ラッター♪ララララ♪ ラララーー♪



 ミーユはマーロを、だっこからおんぶにかえて、ダンスの輪にはいりました。
 みんなで輪になって、フォークダンスを楽しみました。

 気持ちをいやしてくれる、ハーモニカとオカリナの音色が天使の国に響きわたりました。
 これを聞いた天使の国のみんなが、つぎつぎと集まってきました。
 おじさんとおばちゃんの演奏のおかげで、とても楽しいおゆうぎ会になりました。


天使の国


 天使さまも心から感謝していいました。
「オカリナのおばちゃん。ありがとうございました。
 帰りはひまわりのマリーに送らせます。パティたちもいっしょにどうぞ」


「はい そうします」


「マリー マリーや おばちゃんのお庭まで送ってあげてね」
「はい 天使さま。しょうちしました」
「ヒューーイ」ひまわりのマリーが舞いおりてきました。


ひまわり


 おばちゃんの、おうちに咲いているお花は天使の国へ通じています。


「パティ さあ行きましょう」マリーがいいました。
「はい マリーさんおねがいします」
 パティたちは、ひまわりの精マリーに送ってもらってかえりました。


ひまわりの輪


「ありがとうございましたーー」
 うしろのほうから聞こえる声に振り返ると……天使の国の皆さんが見送っています。





 おじさんは最後までお見送りしていました。
 姿が見えなくなるまで、いつまでも…… いつまでも…… 見つめていました。


 おじさんのひとみの中には、オカリナのおばちゃんが映っています。
 その目は、とても大切な人を見守るように……愛情に満ちあふれていました。



  お わ り