不思議なお魚パティとラフィーネ 第34話 私は負けない……  2010.05.28

 
第34話の仲間たち
パティの家族構成 お母さん:ミーユ   お父さん:マルーロ
長女  :ラフィーネ  次女 :パティ   長男:マーロ
パティ31年前の思い出の小学生
お母さん ミーユパティに名前をつけてくれた、とっても優しくて素敵なお姉さん
チッチ渡り鳥の家族のお母さん
リンリンお母さんの変わりもします。看護士さんを目指しています。
トモリンリンリンの弟 小学2年生
サキちゃんリンリンの妹 小学1年生
ミクちゃんリンリンの友達
天使たちyukiさまに仕えている天使たち
エンジェルyukiさまAngelさん   天使のようにやさしい人


渡り鳥の家族のお母さんが病気になりました 元気になあれ…


 みなさん 16話の親子を覚えていますか?
 そう 羽を痛めた渡り鳥の親子のことです。
 お母さんの名前はチッチ、子供はリンリンと言います。


チッチ リンリン
サキチャン トモリン
チッチの家族


 赤ちゃんもいましたね。トモリンといいます。
 その後、京の町で生まれたサキちゃん。
 今は4人家族。


 そのチッチから久しぶりにお便りがありました。

お手紙


 ミーユ パティ おひさしぶりです。お元気ですか?
 私は、先月お風呂あがりに、しこりがあるような気がして
 先生に診てもらったの…


 悪いものがあるということで、手術したんです。
 しばらく入院することになりました。


 でも、私は負けない…… 前を向いて歩くしかないんです。
 立ち止まっているわけには、いかないんです。


 母のためにも、子供たちのためにも……
 病気に負けるわけには行かないんです。


 私は生きる…… 生ある限り生きぬきます。
 この子たちのためにも……


    チッチより





 強く生きなければ、という気持ちが伝わってくるお便りです。
 子を思う親の愛情が、ヒシヒシと感じられ、読んでいるうちに涙がこぼれます。


 私がいなくなれば、この子たちはどうやって生きていくのか……
 それを考えると、ベッドの中で泣きながら、何度、朝を迎えたことでしょう。


 可愛そうなチッチ… 近くにいるのなら、力になってあげられるのに……
 ごめんね チッチ……


パティの家族


「パティ チッチは入院してるって……手術したって書いてるわ」
「えっ 大丈夫なの… チッチお姉さん」


パティ
パティ


「ええ 今は元気になったそうよ。
 でも もうすこし入院して治療するみたいなの……」




「パティ 今度の日曜日にお見舞いに行きましょう」ミーユがいいました。
「はい 天使さまにお願いするんだね」
「ええ 遠いので天使さまの魔法で、送ってもらいましょう」


「ねえ 母さん きいてもいい…?」
「いいですよ。なーに…」


「リンリンたちはどうしてるの……お母さんが入院しているあいだ…」

「大丈夫よ パティ。 子供たちで助け合っていますよ。
 朝は、リンリンがごはんの用意をして先に出かけます」

リンリン
リンリン

 リンリンは看護士さんの学校へ通っているんです。


「小学2年のお兄ちゃんが、6歳の妹の手を引いて学校へ行くそうよ。
 子供たちだけで…… えらいね」


「ねえ お兄ちゃん。 母さんいつ帰ってくるの?」
「もう少ししたら帰ってくるよ。がまんしようね」
「うん わかった」


サキちゃん
サキちゃん


「お兄ちゃん 今度の日曜日に病院へつれてって……」サキちゃんがいいました。
「いいよ 母さんに会いたいの?」


「うん だって 大好きな母さんだもん。
 早く帰ってくるといいな… 母さん」


「お姉ちゃんも一緒に、3人で行こう」
「うん そうだね」お兄ちゃんがいいました。




 広場を過ぎると学校が見えてきました。
「着いたよ。自分の教室へいけるね」


学校


「うん わかるよ。一人でいけるよ」


「帰りは砂場でまってるんだよ」  「うん」
 そういうと、二人は別々の教室へはいっていきました。

 キーーン コーーン   キーーン コーーン


 お兄ちゃんは、学校がおわると、砂場でまっている妹をむかえに走って行きました。


「サキーー」
「あっ 兄ちゃん」


「まった」
「ううん あそんでた」


 砂場に目をやると、砂に母さんの顔がかいてありました。
 ……さみしいんだな… サキ…  がまんしてるんだ……


「さあ 帰ろう」 「うん」


 朝きた道を歩いて家に帰ると、お姉ちゃんはまだ帰っていません。
 看護士さんの勉強がまだ終わっていないのです。


 お姉ちゃんが帰るまで、二人は外に出ないで待っています。
 近ごろは子供だけで、外で遊ぶのは危険がいっぱいです。


 こんな日をすごし、待ちに待った日曜日! みんなで病院へ行く日!


「お姉ちゃん きょうは母さんの病院へ行く日だね」
「そうだよ。 みんなで行きましょう」

「うれしいな」サキちゃんがうれしそうです。


 リンリンは弟と妹を連れて病院へ向かいました。
 広場までくると、うさぎのミクちゃんが遊んでいました。


ミクちゃん
ミクちゃん


「こんにちは。リンリン」
「あっ ミクちゃん こんにちは」


「きょうは遊ばないの……?」
「ごめんねミクちゃん 今から病院へ行くの…」


「だれか病気ですか?」
「ええ 母さんが入院してるの…」


「まあ それは大変 私も行っていい?」ミクちゃんがいいました。


「うん いいよ」
「ミクちゃんが一緒だと、母さん喜びます」


「かわいくって、やさしいミクちゃんですもの……」
「さあ いきましょう」
 ・
 ・

 すると、そこへパティと天使保育園の天使たちが
 虹の橋を渡って降りてきました。


「リンリン トモリン 私たちも行きますよ」


パティ 虹の橋


「あっ パティ 来てくれたの…? こんな遠いところまで……」
「ええ 天使さまがここまで送ってくれたの… ねっ yukiさま」

「ええ チッチやリンリンを元気にするためにね」
「ありがとう 天使さま」リンリンがいいました。


エンジェルyukiさま
エンジェルyukiさま


「パティの家族とチッチの家族が出会ってから7年もたちましたね。
 あの時、赤ちゃんだったトモリンはもう小学2年生
 チッチたちはこれまで、家族みんなで必死に生きてきました。
 チッチはお年寄りのお世話する仕事をしながら、子供を育ててきました。
 リンリンは、時にはお母さんの変わりをして助けました」


「子供達は、お母さん思いのいい子にそだっています。
 思いやりの気持ちをいっぱい持っています」


「さあ パティ リンリン 早くチッチの所へ行ってあげなさい。
 顔を見せてあげることが一番嬉しいことです」


「病院にいると、人恋しくなりますから…… よろこびますよ。
 私の使いのエンジェルたちに、命の泉をもたせました。きっと良くなります」


「はい 行ってきます。天使さま」リンリンがいいました。




 病院に着きお母さんの部屋へ入ると、バンダナで頭をおおったチッチが
 ベッドに腰かけていました。


「母さん みんなできたよ」サキちゃんが言いました。
「えっ まあ …… サキ… トモ……   リンリン 」


「母さーーん……」サキちゃんはこらえきれずに泣いてしまいました。
「ごめんね サキ… さみしい思いをさせて…… ごめんね」
 チッチはサキちゃんを抱っこして涙をふきながら、あやまっています。


「母さん パティたちも来てくれたのよ」リンリンが言いました。
「まあ パティ ミーユ ミクちゃんも… ありがとう」


「チッチお姉さん 元気になって下さい。エンジェルたちもきてますよ」
 エンジェルたちは天使さまからの贈り物を、チッチの胸元にそっとのせました。


エンジェル


「ああ 力がわいてくる気がします。がんばります。病気に負けないぞ!」

 そう言うとチッチは嬉しくて…… 涙があふれてきました。


「私は負けない…… みんなが応援してくれてるんだもの……負けないぞ……
 この子たちのためにも、負けてなるものか…
 これまでもがんばってきたんだ…… これからも強く生きるぞ……
 天使さま パティ 元気を下さいましてありがとう」


 チッチはみんなに感謝し、明日にも病気に勝てるような気がしてきました。

「元気をくれて…… ありがとう」




 お わ り