不思議なお魚パティとラフィーネ 第40話 薄むらさきは母の色    2013.07.12s

 
第40話の仲間たち
パティの家族構成 お母さん:ミーユ   お父さん:マルーロ
長女  :ラフィーネ  次女 :パティ   長男:マーロ
パティ31年前の思い出の小学生
お母さん ミーユパティに名前をつけてくれた、とっても優しくて素敵なお姉さん
小鳥さん広場へ遊びに来る小鳥さん。ぼんてんといいます
アリさん広場が大好きなアリンコさん
バッタさんアリさんたちの遊び仲間でグーリーといいます
薄むらさきの花パティのばあちゃん
ドレスのような
薄むらさきの花
三重のお母さん
エンジェルyukiさまAngelさん   天使のようにやさしい人


道ばたに、薄むらさきの花が咲いている あの花は母の色


パティの遊び場
津市久居の広場


 パティの家族は、いつもの遊び場にきました。
 広場には小鳥さんに、アリさんとバッタさんもいました。

「パティ こんにちは」小鳥さんがいいました。
「こんにちは。 あら 小鳥さんにアリさん」

「ぼくもいるよ」バッタの声
「こんにちは グーリーね」

「はい そうです」


 広場はみんなが大好きな遊び場です。草原だから、ころんでも痛くないんだ。
 みんなで遊んでいたとき、草むらで薄むらさきの花を見つけました。
 一本だけ背を高く伸ばしています。


薄むらさきの母

 誰に水を貰うわけでもなく
 雨が降るのを、じっと待っています。

 長いあいだ、雨が降らないときは
 夜のあいだに、花びらにたまった露が
 流れ落ちてくるのを、待つのでしょう。

 精一杯生きているのがわかります。




「母さん」 「なあに」


パティの家族
パティの家族


「あそこに、薄むらさきの花が咲いてるよ」

「そうね 風に揺られてユーラリ ユーラリと楽しんでいるようね。
 野原に咲いている花ですけど、親しみを感じるわね。
 あの色は、ばあちゃんの好きな色ですよ」ミーユがいいました。

「亡くなった、ばあちゃんのこと……?」
「そうよ 父さんのお母さんのことね」


「ばあちゃん あんな色の上着をきてたね。
 田舎で、ばあちゃんと遊んだ時も、薄むらさきだったよ」


 パティは小さい頃から何度も、ばあちゃんのいる田舎へ行っていたので
 ばあちゃんのことを、良く覚えています。


エンジェルyukiさま
エンジェルyukiさま

 その時、天の方から、天使さまの声が聞こえてきました。
「パティ お父さんが、あの花をじっと見ていましたよ。
 その時のようすを、見せてあげますね」


「あっ エンジェルyukiさま。見えるんですか?」
「はい 見えますよ。待っててね。いま魔法をかけますから……」


 天使さまは両手を合わせ、手のひらにあったかーい、息を吹きかけました。
 すると、手の中から天使たちが出てきて、薄むらさきの花のまわりに集まりました。

 そしてそこには、薄むらさきの花を、じーと見つめる人の姿がありました。
 花に向かって、小さな声でささやいています。


天使のまほう


天使たち
薄むらさきの母と天使たち
薄むらさきの母


「じっと見ていると、花の中に母がいる。
 花ビラが5つ、母には子供が5人。

 真ん中に伸びているのが母。
 今は天使の国にいる。

 父亡きあと、さみしい思いをさせてしまった。
 月に一度しか、会いに行ってやれなかった。


 もっと、してやれることが……あったはず
 ………………なのに………………」


「あやまっているみたいだね。母さん」パティがいいました。
「そうね ばあちゃんに、ごめんね。っていってるようです」

 耳を澄ますと、薄むらさきの花から、声が聞こえます。


 あやまることはないよ。生ある限り生きなさい。
 あなたにはもう一人、お母さんがいるでしょう。

 ほらっ あそこにきれいな花が咲いていますよ。
 あれは、あなたの大好きな三重のお母さん。

ウエディングドレスの三重のお母さん
三重のお母さん


 あなたが18の時、三重へ就職して、お部屋を借りていた家のお母さん。

 いつか話してくれたじゃない。30年振りに会ったって……
 家の前で立って、待っててくれたんでしょう。

 野辺の里というお菓子を、お土産に持たせてくれた
 やさしいお母さん。

 ご無沙汰してるんじゃないの……
 便りを出してあげなさい。

「うん わっかた。そうするよ」


「母さん あれは、ばあちゃんの声だね。聞き覚えがあるよ」

パティ
パティ


「そうですね。いつも笑ってたばあちゃんだね」

「父さんには、お母さんが2人いるんだね。ばあちゃんと三重のお母さん。
 あっ 母さん。あの花も薄むらさきだよ」

「まあ そうね。 オシャレなドレスみたいなきれいなお花。
 きっと 三重のお母さんに、お似合いなんでしょうね。

 ウエディング姿のお母さんに見えるわね。
 結婚式の時のように・・ ドレスの似合う三重のお母さん」


「母さん 父さんにとって、薄むらさきは母の色なんだね」

「ええ そうですね。 パティ つみ取ったりしないで大切にしましょうね」

「はい 母さん」



「私たちも大切にします」小鳥さんがいいました。

「僕も花に登ったりしません」アリさんの声

「僕も大事にするよ」バッタのグーリーもいいました。

 こうして、薄むらさきの花は大切にされ、広場で咲き続けています。

アリさん

バッタのグーリー



 お わ り