不思議なお魚パティとラフィーネ 第28話 コアラさんの家族    2008.09.18

 
第28話の仲間たち
パティの家族構成 お母さん:ミーユ   お父さん:マルーロ
長女  :ラフィーネ  次女 :パティ   長男:マーロ
パティ31年前の思い出の小学生
お母さん ミーユパティに名前をつけてくれた、とっても優しくて素敵なお姉さん
よっちゃん週何回かお昼に行くお店の笑顔の素敵な方
コアラさん親子コアラの家族のお母さんユーカリさんと子供さん
天使たちユーカリさんから生まれた天使たち
青山高原三重県にある美しい高原 標高800メートル位
                     いがかんべ
近鉄大阪線―→名張―→桔梗が丘―→美旗―→伊賀神戸―→青山町
          △                △
         青山高原             笠取山
 ―→西青山・・・・トンネル・・・・・東青山―→榊原温泉口
エンジェルyukiさまAngelさん   天使のようにやさしい人


コアラさんの家族のお話


 パティの家族が広場へきてみると
 親子の姿がありました。


広場
パティのひろば


 遠い町から来たコアラさんです。
 お母さんの名前は「ユーカリさん」


コアラコアラ


 お兄ちゃんが福祉の学校へ進みました。
 学校までお見送りにきたんです。
 三重県まで……


 パティがいいました。
「父さんの働いていたところですね。 母さん」

「そうね、父さんはお山の上でお仕事してたのよ。
 高い高い山の上で、近くに高原があるの……
 お山では、春が夏まで続いて秋になると
 すぐ冬がやってくるんですって……」

「夏はないのね」パティがききました。

「春が長――くあって、冬になる感じ……
 冬はとっても寒くて、お風呂からの帰りに、タオルが凍るそうよ」


 春には高原一杯にツツジと馬酔木(あせび)が咲きます。


青山高原つつじ


 青山高原といいます。
 風車も20以上あり
 風を電気に変えています。


青山高原風車
  青山高原・風車


「こんにちは コアラさん。
 私はパティといいます」


ユーカリ ラフィーネ
ユーカリさん


「こんにちは お魚さん。
 私はユーカリといいます」


「コアラさんの家族…… ユーカリさん。
 お休み中ですか?」


「ええ 広場で少し休んでいます」
「どちらまで行くんですか?」


「福祉の学校のキャンパスへ行くところです。
 子供がその学校へ通うことになりましたので……」


「人のために尽くす、お仕事につくための学校ですね」

「ええ そうです」


「えらいですね。母さんがいってました。
 困っている人に出会った時は手をかしてあげなさい。
 手をかして下さい。……とは、なかなか言わないものですから
 ためらわないで……、お手伝いしましょうか?と
 声をかけてあげなさい。って」

「人のために役に立つようにってことですね」ユーカリさんがいいました。

「はい ユーカリお母さんは、やさしいんですね。きっと……
 やさしいお母さんをみて育ったから
 子供もそんな気持を持ったんでしょうね。
 えらいと思います。
 ユーカリお母さんもお兄ちゃんも、思いやりを一杯もっているんですね」


 ミーユが声かけました。
「帰りはユーカリお母さんお一人ですか?」

「ええ そのつもりです」


パティの家族


「さびしいでしょうけど、大きく成長するための通り道です」

「……………」


「お互いの存在の、大きさと大切さを知るには、離れて暮らすことです。
 離れていると、誰かに支えられている自分を知ることも出来ます。
 他人なのに、こんなに自分のことを、心配してくれる人、いっしょに
 悲しんでくれる人、助けてくれる人がいることに…涙することもあります。
 その経験が、自然に他人を思いやる気持ちとなってまいります。
 遠く離れていても、頼らず、がんばることで意志の強い人になります。
 心配しすぎることは、いいことばかりではありません」

「そうですね。つい心配が先にたってしまって」ユーカリさんがいいました。

ユーカリ
ユーカリさん


「パティ 天国へいったばあちゃんは、車イスでしたね」




「うん でも、父さんは、ばあちゃんの車イスを押してなかったよ」


「ええ あれは、辛いけどそうしてたの…
 本当は押してあげたい気持ちでいっぱいなの……

 だけど、押すと、いつも押してくれると思ってしまうからね。
 父さんがいない時は、自分で、こがないといけないでしょう。
 そのときのことを、考えてのことですよ。

 押してあげることばかりが、思いやりではないのです。
 本人の将来のことを考えるのも、大切な思いやりのひとつです。

 ばあちゃんは、車イスを自由に動かせるようになって
 喜こんでましたね。 パティ」

「うん とても楽しそうだったよ」


「ホラホラ ユーカリさん 涙なんか流して……
 パティ ふいてあげなさい」


母さん  パティ


「はい 母さん」
 パティは、ユーカリさんの目からこぼれる涙を
 やさしく、そーーとふきました。


 でも…… ふいてもこぼれてきます。


「母さん 止まらないの……」


 ミーユがいいました。

「泣かないのですよ。辛いことに会えば会うほど、人は大きくなっていきます。
 辛さを知っているからこそ、人を思いやることができるんです。

 心のいたみを知っている人の思いやりは、相手の胸にひびくものがあります。
 お仕事でも同じことです。お客さまの気持ちになって考えるんです。
 待っていることが分かれば、少しでも早くしてあげるんです。

 きっと喜んで下さいます。
 ありがとう ユーカリさん……と感謝の気持ちがいっぱい返ってきますよ。

 自分もそうしてもらったら、どんなに嬉しいか……分かりますよね。
 困っているときなら、なおさら嬉しいでしょう」


「そうですね」ユーカリさんは大きく、うなずいています。



「あの雲を見て下さい。
 雲さんも天使さまにお仕えしています」


雲さん


「そう なんですか?」

「あれはお母さん雲と言って……
 見る人のお母さんに見えるんですよ。
 ほら… ほほえんでいるでしょう。

 なんだか ユーカリお母さんに見えてきましたよ。
 お兄ちゃんも、さみしいときは空を見上げると
 お母さん雲に会えるので、がんばることが出来ます。

 お母さん雲は世界の空を回っています。
 会いたくなれば、いつでも…… 会えます」


「母さん 父さんもそうしたって、いってたよ」パティの声

「ええ 父さんは15の時から親と離れてくらしていますからね。
 いつも 雲さんに元気を貰っていたんですよ。

 元気のない人、困っている人、悩んでいる人、心のさみしい人……
 雲さんは、みんなに元気を下さいます。

 パティ お店屋さんの、笑顔のよっちゃんを覚えていますか?」(27話)


よっちゃん
    よっちゃん


「はい やさしいお姉さんのことですね。 母さん」


「そうですよ。お店へ行くと、いつも笑顔で、
 こんにちは いらっしゃいませ……今日も暑いですね。
 気をつけて下さい。と
 やさしい言葉をかけ、お客さまを元気にして下さいます。
 人を思いやる気持ちが、自然に出てくるやさしいお姉さんです。
 よっちゃんは、本当は幸せを運ぶ、雲さんなのかも知れませんね」


「きっと そうだね」パティがいいました。


 空には国と国のさかいはありません。ずーとつながっています。
 だから雲さんは、世界中のみんなのお母さんなのです。
 世界の人たちが、お母さん雲を待っています……

 ◇◇ 見上げた空のあの雲が やさしき母の顔に似て…… ◇◇



「ユーカリさん… こんにちは」天使さまの声がしました。


天使さま
エンジェルyukiさま


「ユーカリさん。天使の…エンジェルyukiさまです」パティがいいました。


「あっ はい こんにちは」

「私はいつも天から見ています。この前も見ていましたよ。
 暑い日が続く中、大変なお仕事がんばりましたね。
 自分から気づいて行動すること…… とてもいいことです。

 yukiは見ていましたよ。汗いっぱい流して働く姿を……
 とても感動しました。
 使いの者に便りを持たせましたが届きましたか?」


「はい いただきました。
 短い言葉なのに胸のつまる思いでした。
 見てくれていたんだと思うと、嬉しくて
 がんばろうっと…… 元気が出てきました。
 ありがとうございました。エンジェルyukiさま」


涼しくなーーれ!
手紙パティの家族
暑い中ご苦労さまでした。


「いいえ お礼を言われることではありません。
 ちゃんと見ています。その頑張りをムダにはしません。
 人知れず頑張る人に、何かむくいてあげなければと思いましたから……
 あの時流した汗が、感謝という形になって返ってきますよ。
 ユーカリお母さん ただいまって」


 エンジェルyukiさまが、両手を合わせ空に向かっていいました。

「ユーカリさんから生まれた天使たちや…… 降りてきなさい。
 ユーカリさん ユーカリさん  ほら 見てごらん。
 この前流した汗の、ひと粒ひと粒が、天使となっておりてきますよ」


 汗から生まれた天使たちが、yukiさまの手の平へおりてきました。


手の平


「さあ、天使たちよ、ユーカリお母さんのところへ帰りなさい。
 お母さんに幸せをいっぱい運んで…… お帰りなさい」


「はい エンジェルyukiさま」
 ・
 ・
 ・
「母さん 母さん   ねえ ねえ 母さん。
 あの日、母さんから流れ落ちた私たちです。
 エンジェルyukiさまが、私たちを天使に変えて下さいました。
 天使になった私たちに、お母さんの所へ帰りなさいって
 感謝のしるしも持たせてくださいました」


「まあ なんなのかしら?」


汗の天使


「はい これ…… 母さん」


ユーカリ


「ありがとう ございます。エンジェルyukiさま」


「いいえ あなたのがんばりへの感謝の気持です」


 ユーカリさんが両手をさし出すと……
 yukiさまからの贈り物は、青く光り輝きながら…手の平を通り…
 ユーカリさんの胸の中へスーーー と入っていきました。


 コアラさんの家族の幸せを、母の心の中にいて……

 いつまでも守るために……



     お わ り