不思議なお魚パティとラフィーネ 第47話 風こぞう    2019.12.20s

 
第47話の仲間たち
パティの家族構成 お母さん:ミーユ   お父さん:マルーロ
長女  :ラフィーネ  次女 :パティ   長男:マーロ
パティ31年前の思い出の小学生
お母さん ミーユパティに名前をつけてくれた、とっても優しくて素敵なお姉さん
イチョウさんテニススクールの入口にあるイチョウ
風さんやさしい風を吹かせる風さん
風小僧さんいたずら好きの風小僧
エンジェルyukiさまAngelさん 天使のようにやさしい人 高知市にお住まい


いたずら好きの風こぞう

 イチョウの木の葉っぱが、まっ黄いろになっています。
 こんな景色を見ると、とても気持ちが晴ればれします。

 通りすがりの人がカメラを向ける時もあります。
 木の下にはギンナンを拾いに来る人もいます。

イチョウの木

 こんなきれいな景色になると
 もうすぐ散ってしまう日が
 近いことを知らせています。

 風が吹くたびに、パラパラパラと葉っぱが飛び散ります。
 時には、いたずら好きの風こぞうが、強い風を吹きつけます。
 ピュー ピュー ゴー

イチョウ イチョウ


 あそこで掃除をしている人がいますね。
 きれいに掃いて葉っぱを集めています。
 せっかく集めた葉っぱが飛びちってしまいました。
 いたずら好きの風こぞうのしわざです。

「ううーん 風こぞう 今何をしているのかわかるだろう?
 なんで こんなことをするんだ。
 何度も何度も、きれいにしているのに、なぜなんだ?」

 いつも、掃除のたびに悩まされます。
 腹だたしいことです。風こぞうに人の気持ちはないのか?
 困らせるのが楽しいのか?

 風こぞうが吹くたびに、ひとりごとを言いながら掃除します。

 そよ風のように、やさしく吹く風さんはロマンチックだ!

 葉っぱがそよ風にのって
 ふわーり ふわーりと舞い落ちてきます。
 思わず…… 話しかけたくなります。

 木をながめていた、パティが言いました。
 
「葉っぱさん こんにちは」
「こんにちは お魚さん」ほほえましい会話です。


パティ イチョウ


「もうすぐ葉っぱさんも、友達たちもみんな旅立ちますね」
「ええ そうなんです。短い間だけ、きれいでいられるんです」

「一枚の葉っぱも残りませんね」パティが聞きました。
「はい 全部落ちてしまいます」

「でも春には、緑いっぱいになりますね。緑もきれいですよ」
「ありがとうございます。新しく生まれてきた新人さんです」

「とってもきれいです。青あおとした元気者って感じです」

「冬までの、わずかな間ですけど、いきいきと過ごしたいのです」

「ええ 私たちも、とっても元気になります。
 すくすく育っている葉っぱさんは、たくましいなあと感じます。
 枯れる前の黄色に染まった葉っぱさんも、それはとてもきれいです」

イチョウ葉イチョウ葉イチョウ葉イチョウ葉

 その時、天の方から声が聞こえてきました。

「風こぞうには、なやまされますね。いつも見ていますけど」
 エンジェルyukiさまでした。

エンジェルyukiさま
エンジェルyukiさま

「あっ 天使さまー 天使さまも風こぞうのいたずらを見てましたか?」

「はい いつもおじさんが困っています。
 きれいにしても、きれいにしてもパーと吹きちらかすのよ。
 おじさんがかわいそうになりました。
 でも、くじけずまたきれいに掃除するんです」

「ほんとに困った風こぞうですね」パティの声

「おじさんも、さわやかな風さんとお話している時は
 楽しそうですよ。葉っぱさんに顔を書いて飛ばして
 みたりと仲良しです。パティが今お話ししてたでしょう。
 あれと同じように楽しそうですよ」


パティ イチョウ

「まあ そうなんですか」


「おじさんも、ほんとはわかっているのよ。風さんたちがいるから
 葉っぱさんも飛び散ることが出来ることを……
 冬をこえ春を迎えるには、葉っぱは全部散ってしまわないと困るのよ」

「黄色の葉っぱも役割があるのね。天使さま」

「そうですよ。木の下には、冬の寒さから守ってくれるお布団がほしい
 虫たちがいるの」

イチョウ落ち葉

 パティが言いました。
「そうでした。前に天使さまから教えてもらいました。
 草も木も虫さんも動物も、生き物はみんなつながっているって」

「覚えていてくれたのですね」
「はい」

「ありがとうね パティ」
「おじさんも、それがわかっているから、しんぼうできるんですね」

「そのよううですね」
「イチョウさん 春には緑いっぱいにしてくださいね」

「はーい わかりました」

緑のイチョウ
[春にはこのように緑一杯になります]


  お わ り