不思議なお魚パティとラフィーネ 第35話 ジュリアン    2011.01.21

 
第35話の仲間たち
パティの家族構成 お母さん:ミーユ   お父さん:マルーロ
長女  :ラフィーネ  次女 :パティ   長男:マーロ
パティ31年前の思い出の小学生
お母さん ミーユパティに名前をつけてくれた、とっても優しくて素敵なお姉さん
ジュリアンいつも一人で広場へくるおばあちゃん
雲さん会いたい人に形が変わって見える 雲の精
仲間たちバッタにアリンコさん てんとう虫にチョウチョさん
とりさん、キリンさん、コアラさん
ひまわりのマリー天使さまにお仕えしています
虹の精レイリー天使さまにお仕えしています
キララ天使さまにお仕えしています。キラキラ星のキララ
天使たちyukiさまに仕えている天使たち
エンジェルyukiさまAngelさん   天使のようにやさしい人


悲しみを胸に秘めたジュリアン みんな友達になりましょう


 パティとラフィーネは不思議なお魚です。
 空を飛んだりすることができるんです。
 いつも水の中にいるわけではありません。


広場
パティの広場

 パティの家族がいつもの広場へ遊びに来ると
 おばあちゃんがいました。
 草むらにすわって遠くを見ているようです。


「こんにちは おばあちゃん」パティが声かけました。
「おやっ お魚さん こんにちは」


「私はパティといいます。
 それから向こうにいるのが母さんで、ミーユといいます。
 お姉ちゃんもいます。 ラフィーネといいます。
 だっこしているのは赤ちゃんです」


パティの家族
   パティの家族


「まあ ちゃんと紹介してくれましたね。
 私はジュリアンといいます」


「ジュリアン…… かわいいお名前ですね。
 ジュリアンおばあちゃん ここで何してるんですか?」


「ここへくると気持ちが落ちつくの……」
「お一人ですか?」

「ええ いろいろありまして……」
「そうですか」



「こうして、遠くをながめたり、空を見てると心が休まるの…
 空に浮かんでいる雲さんは、いつも私に話しかけてくれます」


雲さん


 おばあちゃん こんにちは 今日もお会いしましたね。
 寒さが近づいていますよ。雪になるかも…
 体をあたたかくしてね…… などとね。


「おばあちゃん あれはね 私たちの仲間で、雲の精です。
 会いたい人に、形が変わって見えるんですよ。
 今は、多分、おばあちゃんのお母さんに、見えると思います」

 …… 見上げた空のあの雲が やさしき母の顔に似て ……


「ええ 母の笑顔に良く似ています。やさしく包んでくれた母に……」


ジュリアン
 ジュリアン


「ねえ ジュリアンおばあちゃん。私たちはいつもここで遊びます。
 この広場には、仲間も一杯いますよ。おばあちゃんも今日から仲間です」

「まあ うれしい。 私も仲間に入れてくれるんですか?」

「そうですよ みんなを呼びましょう。 そこら辺にいるはずです。
 はーーい みんな出てきてよー」


 バッタにカマキリ、ありんこさん…… コアラさんにトリさん…
 チョウチョに、てんとう虫さん…… キリンさんにペンギンさん……


       


 草むらのあちこちから仲間が出てきて、おばあちゃんのまわりに集まりました。

「みんなありがとう」パティはお礼をいいました。


ばあちゃん


「あたらしい仲間のジュリアンおばあちゃんです。
 見かけた時は、話かけてあげてね」


「いいよ パティ」仲間たちはいいました。
「ジュリアンおばあちゃん いつでもきて下さいね。
 みんなここで遊んでいますから、いつでも会えます」

 そういうと、トリさんが飛んできて、おばあちゃんの肩にとまりました。


「おばあちゃん タントンしてあげますね」トリさんは足を動かしています。
「まあ ありがとう。とっても気持ちいいです」

「そう 良かったです。 よろこんでもらえて…
 ねえ おばあちゃん」

「なあに トリさん」


「パティにお願いして、いいとこへ連れて行ってもらいましょう」
「いいとこって、どこなんでしょう?」おばあちゃんはたずねました。


「天使の国です。
 この広場には、天使の国の入口があるんです」


コスモスの精
天使の国の入口


「パティは天使さまから、入るお許しをもらっているんです」
「えっ そうなの…」


「はい 行ってみますか?」パティがいいました。


パティ
  パティ


「行ってみたいです」
「ではご案内します。 行きましょう」


 そういうとパティは、ジュリアンを連れて、コスモスの花の真ん中へ入りました。
 仲間たちも、パティのあとに続きました。
 コスモスをくぐりぬけると、きれいな花がいっぱいのところへ出ました。


「ジュリアンおばあちゃん、ここが天使の国です」
「まあ きれーーい」


天使の国


「天使さま ジュリアンをお連れしました」
「ジュリアンさま いらっしゃいませ…」

 エンジェルyukiさまはこころよくお迎えし、ジュリアンに話しかけました。


エンジェルyukiさま
エンジェルyukiさま


 ジュリアンという花は、冬の寒い中でも強く生きて、花を咲かせます。
 春を待つ花が多い中、冬の間も楽しませてくれる花… それがジュリアンです。
 とても強く、やさしい心を持ったジュリアン。
 ジュリアンのお母さんも、そう願って名付けたのでしょうね。


ジュリアン
 ジュリアン


 ここには、いろんな悩みを持った人が来ます。
 ほら あちらにも、こちらにも……


 でも、ここでは、一人の悩みはみんなの悩みとして、助け合っているんです。
 話したくないことは、誰も無理に聞いたりはしません。

 話してみようかなっ。 と思ったときに話せば、みんなが聞いてくれます。
 ここにいる者はみんな仲間ですから、自分のことのように親身になってくれます。


 淋しいとき、悲しいとき、心が折れそうなとき、いつでも来て下さい。
 みんなで、おまちしています。


天使  天使 天使  天使 天使


 yukiさまがいいました。

「ジュリアンさま、小さい頃に戻って遊んでみますか?
 なつかしい、お手玉やおはじきやあやとりで遊んだ、あの頃を思い出して……」

「ええ なつかしーいです」ジュリアンが、うれしそうにいいました。

「あちらでは、お手玉作りしてますよ。
 天使保育園の運動会の玉いれで使うんだそうよ。
 ジュリアンも子供の頃は、自分で作ったりしましたね。
 むずかしいところは、お母さんに手伝ってもらったりして……」


「はい 子供のころを思い出します」


「ほら あそこを見て……あやとりしてます。
 ほうきやはしご……
 こちらでは、おはじきをしています。
 きれいなガラスのおはじき… あか あお きいろ…」


おはじき


「みなさん、たのしそうですね」


「ジュリアンも仲間にお入り下さい。
 きっと 子供の頃を思い出しますよ」


「はい ありがとうございます」



「ジュリアンさん おいで……」ひまわりの精マリーが呼んでいます。
「いらっしゃい ジュリアンさん」虹の精レイリーの声


「遊びましょう ジュリアンさん」キラキラ星のキララ
「ジュリアン ジュリアン お…… い…… で……」天使たちの声


 みんな エンジェルyukiさまにお仕えしている者たちです。


ひまわりマリー
エンジェルyukiさま 天使 キララ


 ジュリアンは、幼いころのなつかしい遊びに、夢中になっていました。
「ジュリアンさま さっきより若くなりましたよ」天使たちがいいました。


「ええ 何だか子供のころに、戻ったような気分です」
「ジュリアン 鏡を見てごらんなさい」yukiさまがいいました。


ジュリアン


 鏡を見ると、ビックリ、子供の頃の姿に変わっていました。
 これはyukiさまの魔法によるものです。


「ジュリアン おなたのことは、天からいつも見ています。
 天使の国のみんなやパティの仲間たち……みんなジュリアンが大好きです。
 辛い日や、淋しい時、悲しみにくれる時……あの広場へ行くといいです。
 そうすれば、天使の国へパティが案内してくれます」

「はい そうします」

「まっていますよ。ジュリアン
 みんなが、あなたに会いたいのですから……」


「ありがとうございます。エンジェルyukiさま」


 心あたたまる、やさしさと思いやりにふれ、ジュリアンは嬉しくて涙がこぼれました。
 涙の粒は、ひとつずつ天使の姿に変わり、ジュリアンにささやきました。


ジュリアン
 天使
天使



「ジュリアンさま 私たちはyukiさまの使いの者です。
 いつも、あなたのそばにいるようにと、いわれています」
 もう一人ではありませんよ。
 いつもあなたの胸の中には、私たちがいます」


 そういうと天使たちは、つぎつぎとジュリアンの胸の中へ、入っていきました。
 不思議な出来事にふれ、ジュリアンは夢の世界にいるような、幸せな気分になりました。




  お わ り