不思議なお魚パティとラフィーネ 第22話 ワッタン 2004.08.08
パティの家族構成 | お母さん:ミーユ お父さん:マルーロ 長女 :ラフィーネ 次女 :パティ 長男:マーロ |
パティ | 31年前の思い出の小学生 |
お母さん ミーユ | パティに名前をつけてくれた、とっても優しくて素敵なお姉さん |
ワッタン | あらいぐまのワッタンおじさん |
雲さん | 天使さまに仕えています。 |
レイリー | 虹の精レイリー |
指さんたち | パティの友達 |
鳥さん | 第16話の渡り鳥 チッチとリンリン |
チョウチョ | 第7話のアイちゃんとユーくん yukiさまの子供 |
エンジェル | 天使さまにお仕えしているエンジェルたち |
エンジェルyukiさま | Angelさん 天使のようにやさしい人 |
父さんの友達のお見舞い……に
「ねえ パティ」 「なあに 母さん」 ![]() 「あのね 今年は、あらいぐまの ワッタンおじさんから年賀がこなかったでしょう」 ![]() ワッタンおじさん 「うん どうしてかなー と思ってた」 「病気だったそうよ」 「そうなのー 何も知らなかった…ね…」 「おじさん きっと心配させいないようにと知らせてくれなかったのね」 「そうね 気くばりする人だからね」 「今はリハビリ頑張ってるって、 パティ ラフィーネ 行ってみようか?」 「どこなの? おじさんのとこは……」 「遠いけどね。とっても早い電車でも4時間はかかるよ」 ![]() 「わーー 遠いね。でも旅行も楽しそう……」 「雲さんに運んでもらおうかな」ミーユがいいました。 「うん 私は飛んで行けますよ」 「そうね パティは大丈夫だね。どこまでも飛んで行けるよね」 「うん お姉ちゃんも大丈夫よね」 「ええ大丈夫よ」ラフィーネがいいました。 「みんなでお見舞いに行きましょう」 「はーい」 |
「じゃあ 雲さんにお願いしてみます。ちょっとまってて」 そういうとパティとラフィーネは天に向かいました。 雲さんは、どこへでも連れて行ってくれるんです。 ![]() パティ ![]() ラフィーネ 「雲さん 雲さん お願いがあるの」 「なんですかパティ 難しいことですか?」 ![]() 「あのね おじさんのところへ行きたいの…… 乗せて行ってくれますか?」 「どこまで行くのですか?」 「うーん 母さんが知ってるの、東の方みたい」 「ずいぶん遠いらしいの えーーとね。港があって、ながーーい橋があって……」 「ああ なんとなく分かってきた。4時間くらいかかるんでしょう」 「ええ 母さんがそう言ってました」 「いいよ 送ってあげますよ。 お母さんはどこにいるんですか?」 「広場にいます」 「じゃあ 迎えに行きましょう。ヒューーイ」 雲さんとパティとラフィーネは広場へおりてきました。 「こんにちは ミーユ」 「あら 雲さんごめんなさい。むりなお願いしてしまって」 ![]() ミーユ 「いいえ どういたしまして。 皆さんのお役に立てるなら、こんなに嬉しいことはありません。 喜んで頂けると励みになります」 「すみません よろしくお願いします」 |
「パティの話だと、行先はブルービーチ村かなっと思いましたけど……」 「ええ そうなんですよ。 良くわかりましたね」 「青い空と……青い海のある、きれいなところですね。 私は雲ですから、何度もあそこの空を通ることがありますよ」 「そうですね。世界中を空からながめることが出来るんですよね。 いいですね。雲さんは」 「でも、悲しいこともあります。いつ通っても戦争している国があるんです。 どうして仲良く出来ないのか……って思います。 一年前も、その前も、またその前もあらそってばかり…… 何年も何年も…… 十年前もそうでした。 そんなところがあるんですよ」 「平和な国ばかりではないのですね」 「ええ そうなんです」 「でも、ブルービーチ村はちがいます。 とっても平和で、のどかで、心の中からやすらぐことができます」 「はやく行きたいなっ!」 そんな話をしていると雲の向こうから虹が出てきました。 「あっ 虹の精レイリーさんだっ♪ 一緒に行ってくれますか?」 パティがたずねました。 「はい そのつもりですよ。 パティ」 ![]() 虹の精レイリー 「それでは さあ 行きましょうか」 そういうと、みんなで雲さんに乗っかりました。 「さあ みんないいかい 行きますよ」雲さんがいいました。 虹の精レイリーは、ブルービーチ村まで、きれいな虹をかけてくれました。 |
雲さんに乗って東へ向いながらミーユが話しました。 「パティ あのね、ばあちゃんのとこへ行ったことあるでしょう」 「父さんのお母さんのことでしょう。ホームにいる……」 ![]() 「そうよ 今は車イスですよね」 「うん でも、父さんは、ばあちゃんの車イスを押してあげなかったね」 「ええ あれは、辛いけどそうしてたのよ」 「こっちへおいでと言って、父さんが先に歩いてたね」 「そうすると、ばあちゃんは一生懸命、車イスをこいでたでしょう。 よいしょ よいしょって」 「うん」 「それが、リハビリになるのよ。 だから、父さんはそうしてたの 本当は押してあげたい気持ちでいっぱいなの…… だけど、押すといつも押してくれると思ってしまうからね」 「そうだったんだね」 「父さんやパティもラフィーネもいない時は、自分でこがないと、いけないでしょう。 できるだけ体を動かすことが、少しずつでも良くなっていくことなのよ」 「ええ パティも父さんに聞いたことがあるの どうして押してあげないの?って そしたら、母さんと同じこといってた。 目には涙がうるんでたよ…… 父さん つらかったんだね」 「ばあちゃんは、今では、車イスを自由に動かせるようになったよね。 どこでも自由に、行ったり来たりしていますもの…… 少しずつでも、体を動かすと段々と良くなっていくのね」 「うん ばあちゃん たのしそうだったよ」 「今日したから明日良くなる、というほどには、いかないけど、 一日一日の頑張りが、体に伝わっていくのよ。 体の色んなところが、みんなで力を合わせて、がんばってくれるようになるの よくやったね。エライよ。がんばろう、がんばろうって言うの 体の声が、聞えてくるようになるのよ」 ![]() 指にんぎょう 親指さんはお父さんの声、人差し指はお母さんの声、お兄さん、お姉さんもいるよ。 足にもいるね。10人家族♪ ほーら みてごらん膝にもいるよ。笑ってるね。 |
「たまにホームをたずねてくる人は、押してあげたりしてますね。 でもね、帰った後も押してくれると思ってしまうと、本人が困るのよ。 そう考えると 手を貸さない方がいいの 駅とか街などの階段や、車イスの通れない所は違いますよ。 困っている人がいたら、助けてあげるのよ。 その違いは分かるよね」 ![]() パティ 「うん わかるよ 母さん」 こんなお話を聞きながら、東へ向っていると エンジェルyukiさまに会いました。 「あら パティ こんにちは」 ![]() エンジェルyukiさま 「天使さま こんにちは。 皆んなで、おじさんのお見舞いにいくの」 「そう 行先はブルービーチ村でしょう。気を付けてね」 天使さまは上から何でも見ているから知っているのです。 「そうそう ひまわりの精 マリーに案内させましょう。 マリーや 案内してあげなさい」 ![]() マリー 「はい 承知しました」 そう言うと天使さまは、右手で大きな輪を描きました。 その手の後を、マリーや仲間たちが追いかけて、ひまわりの 輪を作りました。 ![]() 「この輪を抜けると、ブルービーチ村へ出ますよ。 マリー 皆んなをお願いしますね」 「はい わかりました♪」 |
雲さんは、皆んなを乗せたまま、輪の真ん中へ向かいました。 スゥーーと吸い込まれていくと、とてもキレイな海へ出ました。 ![]() 「パティ着きましたよ。ここが、ブルービーチ村です」 ![]() Florida 7 miles bridge The photography is Nakamori 「ずいぶん早かったですね」 「天使さまとマリーのおかげです」 おじさんはここで静養しています。 こんなキレイな所で療養すれば、きっと良くなります。 「おじさん こんにちは。どうですか?」 ![]() パティ 「パティかい、ずいぶん遠いところまで来てくれてありがとう」 「いいえ どういたしまして」 ![]() ワッタンおじさん 「おじさん 何にも教えてくれないから……きちゃった。 もう…… 心配させまいとして……」 「ごめん ごめん 騒ぎが大きくならないようにしたくて……」 「だまってると、もっと心配しますよ」 「そうだね。これからは知らせるようにします。 みんなの顔をみたら元気が出てきたよ」 「そうですか。来て良かった♪ 安心しました」 空を見上げると、チョウチョのアイちゃんとユーくん…… キラキラ星のキララにエンジェルたちもほほえんでいます。 「がんばりましょうね ワッタン♪」そういってるようです。 ![]() ![]() アイチャン ユーくん ![]() ![]() ![]() キララ 人の優しさや、温かさにふれると、不思議な力が湧いてきます。 よし 頑張ろう 負けないぞっ! という気持になります。 パティがいいました。 「おじさん いつも、皆んなが、どこかから声援を送っていることを、覚えていて下さいね」 「ありがとう パティ みなさん ありがとう」おじさんの声にならない声 こうして皆んなでおじさんを励まして帰ってきました。 虹の精レイリーもずーと一緒にいて、私達を見守ってくれました。 ひまわりのマリーさん、雲の精さん、ありがとうございました。 |
![]() 浜辺 Miami The photography is Nakamori |
お わ り