不思議なお魚パティとラフィーネ 第41話 チョコのおばちゃん    2014.03.11s

 
第41話の仲間たち
パティの家族構成 お母さん:ミーユ   お父さん:マルーロ
長女  :ラフィーネ  次女 :パティ   長男:マーロ
パティ31年前の思い出の小学生
お母さん ミーユパティに名前をつけてくれた、とっても優しくて素敵なお姉さん
チョコのおばちゃんいつもチョコレートをくれる、しんせきのおばちゃん
お酒の好きなおじさんでんちゃん。ミー先生のおじいちゃん。作者の妹の主人
ミー先生保母さん。でんちゃんの孫ですね。
小鳥さん広場へ遊びに来る小鳥さん。ぼんてんといいます
アリさん広場が大好きなアリンコさん
バッタさんアリさんたちの遊び仲間でグーリーといいます
てんとう虫さんなおなおといいます。
雲さん見る人によって姿が変わって見える雲の精
虹のレイリー虹の精、天使さまにお仕えしています
沈下橋(ちんかばし)高知県四万十川にある手すりのない橋
菜の花橋のたもとに咲きます。
子供天使たち天使保育園の子供たち
エンジェルyukiさまAngelさん 天使のようにやさしい人 高知市にお住まい


田舎にいる やさしいおばちゃん



 パティの家族は不思議なお魚です。
 いつも水の中にいるわけではありません。
 空を飛んだりする、とっても不思議なお魚です。


 お母さんの名前はミーユ
 赤ちゃんをダッコしています。
 赤ちゃんの名前は「マーロ」といいます。


パティの家族
パティの家族




 今日もパティの家族は広場にきています。
 ここはパティたちの大好きな遊び場
 草原だから転んでも痛くないんだ!


パティの遊び場
三重県津市久居にある広場

 草や花や小鳥やありさんにバッタさん
 おやおや てんとう虫もいます。
 みんなパティの仲間たちです。


         


「パティ こんにちは」小鳥さんがいいました。
「あっ 小鳥さん こんにちは。アリさんもバッタのグーリーもいるんだ……」
「そうだよ いるよ」


「わたしもいるよ パティ」
 てんとう虫さんがパティの頭にとまりました。


「わあーい てんとう虫のなおなおさんだ……おげんきですか?」
「私はいつもげんきよ」 いつものなかまたちが揃ってお出むかえです。


「パティ 突然のことで大変でしたね」みんなの心配そうな顔
「チョコをくれるおばちゃんのことだね」パティが答えました。




エンジェル棺エンジェル


「天使の国へいったんでしょう」アリさんが天を見あげながらいいました。
「ええ 今は天使さまと暮らしています」


 パティは田舎にいるばあちゃんに会いにくると、おばちゃんの家へも寄りました。
 近くに、手すりのない不思議な橋があって、とてもきれいな川のある町


沈下橋
四万十川の沈下橋


 おばちゃんの家から歩いて行けるんだ……
 橋のたもとに、春には菜の花が咲き
 秋にはコスモスが、風に吹かれてユラユラおどり出します。



「パティ おかえり」お花がいいました。
 サラサラー サラサラー 澄んだ川の流れも
「おかえりー」と声かけてくれます。


「ただいま」パティは橋を通りながらいいました。


「おばちゃんちへ行くの?」今度は橋さんが聞きました。
「うん そうだよ。おばちゃん いるかな?」


「いると思うよ。昨日は橋を通ったから……」
「じゃあ 行ってみるね。ありがとう」橋にお礼をいいました。


パティ
パティ



 パティは田舎へ帰ってくると、一番におばちゃんの家へ寄ります。
「おばちゃん いますかー おはよう」


チョコおばちゃん
    チョコのおばちゃん


「あら おかえり ホームにいるばあちゃんに会いに帰って来たの……」
 このころパティのばあちゃんは、老人ホームに住んでいました。


「うん」


「そう えらいね。ばあちゃん喜ぶよ。もう行ってきたの?」
「うーん これから行くの……」


「そうかあー これからか… いいものあげよう」

 そういうと少し曲がった腰を伸ばし、冷蔵庫から何かを取り出して
 パティの顔を見ながら……

「何かな…?」

 両手で包みこんだ手をテーブルの上で
 パッと広げると……チョコが……ポトっ!


チョコ


「あっ チョコだ! おばちゃんありがとう」
 おばちゃんは、いつもチョコを冷やしておいてくれたんです。

 やさしいおばちゃんです。


「食べたら、ばあちゃんのところへ行ってあげなさい。まだかなって待ってるよ……」


「うん そうする。  おばちゃん こんばん泊まってもいい?」
 パティは少し坂になった門をおりながら、振り向いて聞きました。


「いいよ 一人暮らしだからにぎやかな方がいいわね」
「じゃあ ばあちゃんの所へ行って、夕方もどってくるからね」
 

「ばあちゃんとゆっくり話してきていいよ」
「うん 行ってくるね」そういうとパティはおばちゃんに手を振り別れました。


 それからお昼も過ぎ夕方になると、ホームへ行ったパティが戻ってきました。
「おばちゃん帰ったよ。 んー いいにおいだね」鼻をスースー鳴らしながらいいました。


「今夜はカレーにしたよ」おばちゃんがいいました。
「やったー カレー 好きなんだー」


「そう それは良かった。さあ食べようかね」
「うん」


「玉ねぎはカレーにも入ってるけど、かき揚げも作っておいたから食べてね」
「ありがとう。 サクッサクッ いい音がするね。おばちゃん」

「しんせんだからね」


かき揚げ 玉ねぎ


「この玉ねぎはあそこの畑に植えてある分でしょう。
 おばちゃん 家にいない時は、畑にいるよね」畑の方を指さしながらいいました。


「そうね。 だいたい畑で草むしりしてるね」
「おばちゃん カレーもおいしいよ」


「そうかねえ うんと食べたや」
「はーい おかわりー」


 会話のはずむ、にぎやかな晩ごはんになりました。




 こうしてパティが昔のことを思い出しているとき
 やさしい聞き覚えのある声が、天の方から聞こえてきました。


エンジェルyukiさま
エンジェルyukiさま

「パティ チョコのおばちゃんに会いたいですか?」
「あっ 天使さま。エンジェルyukiさま〜
 おばちゃんに会えるんですか?」


「はい 会えますよ。 あの雲を見てごらん。
 あれは雲の精で会いたい人の顔に見えるんですよ。
 ほら、だんだんチョコのおばちゃんに見えてきたでしょう」


雲の精


「あっ ホントだ 見えます。おばちゃん 笑ってるみたい……」


「こっちにおいで…… って いってますよ。
 虹の精 レイリー レイリーや いますか?」


「はーい 天使さま お呼びですか?」
 虹色に輝くレイリーがやってきました。


「あの雲のところまで虹をかけておくれ」


「はい 承知しました」
 そういうとレイリーは、虹のトンネルを雲さんまで渡してくれました。


虹の精
虹の精レイリー


「パティ さあ どうぞ この虹のトンネルをくぐって下さい」 レイリーの声
「はい レイリーさんありがとう」


 パティは虹のトンネルをくぐると雲さんの中へスーと吸い込まれました。

 雲の中を通り抜けると、とてもきれいな天使の花園に出ました。

「うわー きれーい」パティは思わず声を出していました。




天使の花園
天使の花園

 パティが天使の国へ着くとエンジェルyukiさまがいいました。
「いらっしゃい パティ あそこにチョコのおばちゃんがいるでしょう」


「あっ 見えます。yukiさま。近づいてもいいですか?」
「これ以上はいけません。近づき過ぎると消えてしまいます。ここから見てて下さい」


「はい」そういうとパティは遠くから天使の花園を見ています。



「みんな平和に暮らしていますよ。チョコのおばちゃんはお話が上手でね。
 天使保育園のエンジェルたちにお話をしてくれています。

 エンジェル エンジェル  エンジェル エンジェル

 子供エンジェルたちも大喜びです。
 若い時はバイクに乗ってどこへでも行ってたんですって……」


バイク

 もんぺにヘルメット姿で ブルーーン ブルーーン♪♪
 もんぺ ライダーだ!



「あっ それとね。パティのしんせきの
 ミー先生も天使保育園へ、時々手伝いに来てくれます。
 今年の春から保母さんになって、希望がいっぱいなんですね。
 天使の国と地上を行ったり来たり忙しくしています」


ミー先生
ミー先生

「yukiさま」 「なあに パティ」
「ミー先生のおじいちゃんは、お酒の好きなおじさんですよね」


「そうよ お酒の好きなおじさんは
 チョコのおばちゃんよりひと月はやくこちらへきました。
 たしか でんちゃんっていいましたよ」


「yukiさま、あそこに見えます。おばちゃんと保母さんの近くにいるみたい……」
 パティはミー先生のおじいちゃんを見つけました。


 yukiさまがいいました。
「ミー先生は、おじいちゃんに保母さんになったことを話しているのよ。
『じいちゃん 見て… 見て… 私、保母さんになったのよ。安心してね。』って」


でんちゃん
ミー先生のおじいちゃん


「よかったなあ。保母になった姿を見たいと思いながら……叶わなかった。
 今日は天使さまが会わせてくれた。うれしいよ。頑張れよ ミー」
 おじいちゃんは、涙をこぼしながらこういっているようでした。



 天に昇った人もあります
 それが運命(さだめ)と知りつつも 帰ってくるかと待ちわびる日々
 今日でなければ明日なの…? 明日でなければ… あさってか…?


 朝起きて、玄関を開けると「ただいま」って立っているのではないか……?
 大切な人を失った者は、誰もがそう思いたいものです
 いのちある者の運命(さだめ)であるも……


 帰ってこれるものなら 帰ってきてほしい こんなに待っているのに…………



  お わ り