不思議なお魚パティとラフィーネ 第44話 ツバメさん    2016.12.20s

 
第44話の仲間たち
パティの家族構成 お母さん:ミーユ   お父さん:マルーロ
長女  :ラフィーネ  次女 :パティ   長男:マーロ
パティ31年前の思い出の小学生
お母さん ミーユパティに名前をつけてくれた、とっても優しくて素敵なお姉さん
ツバメさん南のほうからやってくるつばめたち
チョウチョさんパティの遊び仲間
アリさん広場が大好きなアリンコさん
バッタさんアリさんたちの遊び仲間でグーリーといいます
てんとう虫さんなおなおといいます。
トンボさん広場へ遊びにくるトンボさん
ひまわりさん天使さまにお仕えしているひまわりの精マリーさん
エンジェルyukiさまAngelさん 天使のようにやさしい人 高知市にお住まい


ツバメさんの旅立ちです 途中まで送っていきましょう


 パティの家族はいつもの広場へきました。

パティの広場

パティの家族
パティの家族

 ツバメさんが飛んでいます。
 春にやってきたツバメさん。

 田んぼが始まる時期には、鳥たちのごちそうが沢山います。
 子育てするには最高の時期です。

 田植え時に生まれた子供たちも大きくなっています。
 親と一緒に飛び回るほど成長しました。

 もうすぐ旅立ちの日がやってきます。
 淋しくなりますね。

「母さん ツバメさんが飛んでるよ」


パティ
パティ

「そうね 子供達も大きくなってきましたものね。
 そろそろ帰るために飛ぶ練習をしてるのでしょう。
 大きい方がお父さんとお母さん。あとに続いているのが子供たち」

「ツバメさん ツバメさん もうすぐ旅立ちですか?」パティはたずねました。

ツバメ母


「はい もうすぐ冬がやってきますから、あたたかい所へ行かないと……
 みんなはもう南へ向かいました。
 私たちの家族だけ残ってしまったの……
 子供たちが十分飛び続けられるようになるまでは
 帰れなかったの……」

「それで練習してたんですね」
「はい もう帰れそうです。だいぶ上手になりましたからね」

「小川の水スレスレにヒューーイと飛んだり
 ピューーンと空高く上がったりしてましたね」

「ええ 自由に飛べるのが楽しくって、ウキウキしています。
 みんな もう大丈夫ですか?」ツバメのお母さんがいいました。

「はーーい お母さん もうどこまでも飛んで行けます」

「それじゃあ パティたちにお別れのあいさつしましょう」
「はい パティさん さようなら」

「もう行ってしまうのね。 ツバメさん。
 また らい年きて下さいね。 まっています」パティがいいました。

「ええ お父さんとお母さんは、らい年も同じ巣に戻ってきます。
 お父さんが先にきて巣作りをします。お母さんは少し遅れてきます」

「そうなんですか? お父さんとお母さんと一緒かと思ってました」
「別々なんですよ。 子供たちはきません」お母さんがいいました。

「ええー どこへ行くんですか?」

「子供たちは子供たちの人生があります。自分で好きな村へ行きます。
 どこへ行ってもいいんです。気に入った村があればそちらへ向かいます」

「えらいですね」



 ツバメさん達は上へ上へと昇って行きました。
 だんだんと小さくなっていきます。姿を見つけることが難しくなってきました。

ツバメさようなら

 パティは広場の仲間たちと、空に消えゆくツバメさんを見ていました。

 ありさん バッタ てんとう虫  チョウチョ  トンボ




「母さん」 「なあに」

「ツバメさんを送って行ってもいいですか?」パティがいいました。

「いいですよ」

「わーーい やったーー 」

「そうそう おじさんが入院したそうだから、瀬戸大橋あたりまで送って行って
 そこでお別れして、お見舞いに行ってきなさい」


「おじさんって、父さんのお兄さんだね」

「ええ そうですよ。パティも会ったことありますね」

「うん 田舎のばあちゃんとこで会ったよ。 母さん行ってくるね」

「くだもの村のマスカット病院ですからね。
 気をつけて行ってらっしゃい」ミーユはやさしく見送りました。



「ツバメさーーん まって下さーーい。 送って行きまーす」

 そういうとパティは飛び上がり、ツバメさんの後を追いかけました。
 ツバメさんたちは高い高いところで、回りながらまっていてくれました。

 あんなに空高く飛んでいる姿は見たことがありません。
 飛行機の飛んでる高さくらいまで昇って行ったのかな。
 はやく追いつかなくちゃ。

 パティはやっと追いつきました。

「パティさん送ってくださいますの?」
「はい 母さんがいいっていったの」

「そう じゃあ行きましょう」

 つばめさんの後について南へ南へと飛んでいくと
 島と島をつないだ長いつり橋が見えてきました。



「パティ あれが瀬戸大橋ですよ」

瀬戸大橋


「はい じゃあここでお別れですね。
 また、らい年の春にはきて下さいね」パティはもう一度お願いしました。

「ええ 行きますとも、毎年あの村で過ごしますから……」

「私たちは、ここから、おじさんのところへ行きます。さようならツバメさん」

 パティは春がくるのが待ちどうしい気持ちでいっぱいになりながら
 おじさんのいる病院の方へ向かいました。

 ツバメさんたちは風にのってグライダーのように空をすべって行きました。



「パティ ずいぶん楽しそうでしたね」
「あっ 天使さまー エンジェルyukiさま」

エンジェルyukiさま
エンジェルyukiさま

「これからどちらへ行きますか?」
「はい おじさんのお見舞いに病院へ……」

「そう じゃあ いってらっしゃい。帰りを楽しみにしててね」

「えっ 何かあるんですか?」
「それは あとでね」

「はい」 そういうとパティは病院へ急ぎました。
 おじさんのいるマスカット病院へ着きました。
 面会室でまっていると、おじさんがやってきました。

マスカット病院

「おじさん 病気は良くなりましたか?」

「パティか だいぶ良くなったから心配いらないよ。
 帰ったら母さんにも大丈夫だって伝えてね」

「うん わっかた」


 しばらくおじさんと話をしたあと、別れを告げ病院の外へ出て
 帰る方角をたしかめるため、空を見上げていました。

 すると、背中のほうから、やさしい声が聞こえてきました。


「あのー パティさん 送ってあげますよ。
 私はエンジェルyukiさまの使いでまいりました」

 ふりかえると、ひまわりのマリーさんがいました。ひまわりさん

「ええ yukiさまのーー」

「はい そうです」

「そうか いいことがあるってこのことだったのか……
 やっぱりエンジェルyukiさまはやさしいなあ……
 天使さまー ありがとうございまーす」


 天のほうにお礼をいうと、エンジェルyukiさまがうなづいているのが見えました。


 エンジェルyukiさまが指で天にまーるく大きな円を描くと
 ひまわりさんが指のあとを追っかけて、空に大きな輪を作りました。

ひまわりの輪


「パティさん この輪をくぐるといつもの遊び場に出ます」マリーがいいました。
「ええー そうなんですか?」

「はい 天使さまが魔法を使って下さいました。私もご一緒しますから帰りましょう」
「はい ありがとうございます」


 こうして、パティは天使さまのおつかいのマリーさんに送ってもらい
 ひまわりの輪の中へ入ると、虹色に輝く光の道を通りぬけて帰ってきました。


パティの広場


 実は、このひまわりさんは、おじさんと同じ病院へ入院しているお母さんの
 面会にきていた、お母さん思いのやさしいお姉さんでした。



  お わ り