不思議なお魚パティとラフィーネ 第25話 神さまとのであい    2007.10.28

 
第25話の仲間たち
パティの家族構成 お母さん:ミーユ   お父さん:マルーロ
長女  :ラフィーネ  次女 :パティ   長男:マーロ
パティ31年前の思い出の小学生
お母さん ミーユパティに名前をつけてくれた、とっても優しくて素敵なお姉さん
神さま1円もお金がないとき、貸してくれた親切なお店のご主人
ばあちゃんパティのおばあちゃん ふるさとホームで生活しています
フミ先生おくすりの先生
天使の子供たち天使さまの仲間たち 天使さまにお仕えしています
エンジェルyukiさまAngelさん   天使のようにやさしい人


神さまとの出会いのお話


 神さまは心の中にお住まいです…あなたにも あなたにも

「パテイ 父さんは神さまと出会ったことがありますよ…」

「うん 聞いたことがあります。母さん
 ばあちゃんの所へ行っての帰り道ですね。会ったのは…」

miiyu


「ええ そうですよ」

 ばあちゃんの田舎は遠いんです! お船で2時間……
 車で5時間もかかります。

「パティも小さいときは、父さんについて行ってましたね」

「うん 覚えています。父さんは、夜、ずーーと運転して帰るの……
 車の中におふとん敷いてパティは寝てるの…
 朝になって明るくなると着くの…」



 ばあちゃんは、いつもは、ふるさとホームにいます。
 お年寄りの方たちが、暮らしているところです。


ホーム
   ホーム


 そこには寮母さんや、おくすりの先生もいます。
 病気になったときは、おくすりを作ってくれます。
 フミ先生というやさしい先生です。


フミ先生
 フミ先生


 父さんが田舎へ帰った時は、ばあちゃんを実家へ連れて帰ります。
 ばあちゃんと、父さんと、パティの3人で泊まります。


パティ
   パティ


 父さんが3人のごはんを作ってくれます。
 ばあちゃんは「お…い…しい…… わが家はいいね」って食べるの


「ずーと ここにいたらいかんの?」と聞かれます。
 忘れる病気であることを告げることもできず、答えに苦しみ
 いつも辛い思いをします。


 広島へ戻ってくる時は、また、ばあちゃんをホームへお願いするんです。


「ばあちゃん また、来月帰ってくるからね……
 30回朝がきたら帰ってくるよっ」って言うの





「早ようきてよ……」
「うん 来るよ… ええこでおれよ…」


「ええこでおるけん………」


 悲しいけど、こうして別れなければなりません。
 辛さをこらえ、手を振りながらホームを出ます。


「さみしい思いをさせてごめんよ………」
 心の中であやまります。





 ある日のことでした…… いつものように
 田舎へ行って、ばあちゃんと別れての……帰り道……


 ホームを出て5時間くらい車で走り、港の近くまできた時……
 ガソリンが残り少なくなってきたので、ガソリン屋さんに入りました。


「これでお願いします」とカードを出そうとポケットに手を入れたとき…
「ない… んっ… ない…」


 ないのです。 免許証も…カードも…お金も…何もないのです。
 ばあちゃんの家に置いたまま… 忘れてきたのです。
 引き返すには遠すぎます。  ガソリンもありません。


 どうやって、広島まで帰るのか?
 そのことで頭がいっぱいになりました。


 フェリーに乗らないと帰れない。 どうしよう。
 とにかく、今はここを出ないと……


港


「すみません。カードを忘れたので油は入れません……ごめんなさい」
 そう言ってガソリン屋さんを出ました。 ひとまず ホッ……


 どうしたら良いんだろう……ドキッ ドキッ ドキッ……
「困ったなあ…」と思いながら、少し進むと…何やら看板が目につきました。


 質(しち)と書いてあります。 「んっ しちやさんか……」
 お店はどこにあるのかな……?
 ここは電車通り…… 前にはお城が見えます。 松山城だ!


質屋さん
  しち屋さん

 お店の住所をよーくたしかめてから……、停留所の名前を見ました。
 どうやらお店はここから近いようです。


 あちこち探して、なんとか、お店を見つけることができました。


 ここでお金を貸してもらえる…… そのことは知っています。
 お金を借りるには、何か品物が必要です……


 しちやさんとは、品物を持って行けば、その価値を判断してお金を貸して
 くれるお店です。


 何かないかと、車内を見回すと……………
 あっ ありました。あるある、カメラがありました。


カメラ


 古いものですが……だいじょうぶかな…… 不安です。


 もうひとつ、困ったことに…… みぶんを証明する物がありません。
 免許証も……ない。私は誰なのかを証明するものがない……困ったなあ…


 盗んだ物を持ってきたと、疑われても仕方ありません。
 証明書がないと、貸してもらえないのが普通です。


 でも、頼んでみるしかありません。



 ガラガラガラー ……………


「ごめんください。 こんにちは。 失礼します」
「はい」おだやかな顔をしたご主人が出てきました。


「あのー…… 私は田舎からの帰り道なんですが、田舎の母の家に
 お金も免許証もカードも全部忘れてきました………
 広島まで帰るフェリー代がありません。
 これで、いくらか貸して頂けないかと思いまして……」とカメラを手渡しました。
 一生懸命、誠意をもって忘れたことを話しました。


 すると、奥のほうへ行き、しばらくして戻ってきて……
「いくらあれば、帰れますか?」とやさしく声をかけてくれました。


 少し考えてから…
「8,000円です」と答えました。これではギリギリのお金でした。
 もっと多く言えば貸してくれたでしょうが、それは良心が許しません。


「これで、帰れますか?」とやさしい言葉とお金を渡してくれました。


「はい 帰れます。 ありがとうございます。 ありがとうございます。
 ご主人が神さまに見えます。
 神さまにお会いしたような気持ちです。本当にありがとうございます。
 ご恩は決して忘れません。ありがとうございます」


 何度も何度もお礼を言いました。


 お店の外へ出て、もう一度看板を見ると………
『神さまのお店』と書いてあるように見えました。


神さまのお店


 ご主人はやっぱり、神さまだったんだ。
 神さまとの出会いでした。


 お店に向かって、ふかぶかと頭をさげ
「神さま、ありがとうございます」


 感謝の気持を胸に、港へむかいました。


 ガソリン代とフェリー代を払うと、100円玉1つと10円玉がいくつか
 残りました。


 おかげさまで、フェリーに乗ることも出来……これで帰れます。
 ホッ


 動き出したフェリーの中で、家に帰れる安心感でホットしました。


フェリー



 もう夕方です。朝、食べてから何も食べてなかったので、お腹がすいていました。
 心配が先にたち、忘れていたようです。


 売店のショーケースをながめ、なるべく量の多い物は何かなあと比べてみました。
「えびせん」が一番多かった。


エビセン


「えびせん下さい」 残っていたお金で払うと
 もう、手には10円玉が2〜3枚になりました。でももう大丈夫。帰れます。


 ボリボリ食べました。「うーーん  おいしーい……………」
 神さまがくれた「人を信じる……」という心のこもった味でした。


「よかったですね。信じていただいて……」天から声がしました。
 エンジェルyukiさまです。


エンジェルyukiさま
エンジェルyukiさま


「誠意が通じたのですよ… きっと…」
「はい とても嬉しいです。このご恩は決して忘れません」


「そうですね。恩を受けた分、誰か困っている人に、手を差し伸べてあげなさい。
 それがご恩返しです。
 神さまもきっとそれを望んでいます。
 受けた恩は倍にしてお返ししなさい。
 かけた恩は忘れるのですよ…… 川の水に流すように……」


「はい yukiさま。そういたします。
 いつまでも忘れないようにします。
 神さま…… 助けて頂いてありがとうこざいました」


天使
ばあちゃん
天使


 元気だった母も2007.3.16日、天使の国へのぼっていきました。
 天使に見守られながら… 享年94歳



 お わ り